失敗① 厨房が狭すぎて動線が確保できない
これは本当に多い失敗です。「客席をなるべく多くしたい」「ホールを広く見せたい」という気持ちが先行して、厨房スペースを削りすぎてしまうケース。図面上では問題なさそうに見えても、実際にスタッフが2人同時に動くと身動きが取れない……なんてことが起こります。
特に居酒屋や定食屋のように、同時に複数のメニューを調理する業態では、厨房内の動線が直接オペレーション効率に影響します。ピーク時にスタッフ同士がぶつかって料理の提供が遅れる、結果的にお客さんの回転率が下がる、という悪循環に陥ることも。
厨房の通路幅は最低でも60〜90cm確保するのが基本。図面だけでなく、実際にその場に立って「ここでフライパンを振る」「ここで皿を出す」と具体的な作業動線をシミュレーションしましょう。飲食店の実績が豊富な内装業者なら、適切な厨房サイズを提案してくれるはずです。
失敗② 設備容量の確認不足で追加工事が発生
テナントビルに入居する場合、そのビル全体で使える電気やガスの容量には上限があります。
この確認をせずに契約してしまい、いざ工事を始めたら「居酒屋で使う厨房機器を全部動かすには電気容量が足りない」と判明。容量を増やすための工事に追加で50万〜100万円かかった——こんなケースは珍しくありません。
ガスも同様です。炭火焼きやガスコンロを多用する業態では、ビルのガス供給量が足りないことがあります。最悪の場合、購入済みの厨房機器を別のものに買い替える羽目になることも。
- 電気の契約容量(kVA)
- ガスの供給量
- 給排水管の口径と位置
- 排気ダクトの経路
物件を契約する前に、必ず内装業者に現地を見てもらいましょう。これらを事前に把握しておくだけで、想定外の追加工事をかなりの確率で防げます。
失敗③ 見た目重視で掃除・メンテナンスが大変
おしゃれな内装に仕上げたのに、オープン後に「掃除が大変すぎる」と後悔するオーナーさんは意外と多いです。
たとえば、白い壁は清潔感がありますが油汚れが目立ちやすい。無垢材のフローリングは雰囲気が良いですが、飲食店では水や油で滑りやすく、経年劣化も早いです。装飾が多い照明器具は、油煙が付着して定期的な分解清掃が必要になります。
飲食店の内装は「作って終わり」ではなく、毎日使うものです。見た目の良さと日々のメンテナンスのしやすさ、このバランスが崩れるとスタッフの負担が増え、長期的にはQSC(品質・サービス・清潔さ)の低下につながります。
壁にはビニールクロスや耐油性のあるタイルを使う。床は防滑性のある長尺シートにする。照明はシンプルな形状のものを選ぶ。こうした実用的な判断が、5年後10年後の営業に効いてきます。
失敗④ 保健所・消防署の基準を知らずに工事
工事が終わってから保健所の検査で「ここがダメ」と言われて手直しが入る——これもよくある失敗です。
飲食店は営業許可を取るために、保健所と消防署の検査をクリアする必要があります。代表的な基準としては、二層シンクの設置、グリストラップの設置、厨房と客席の適切な区分け、消防設備(火災報知器・消火器・誘導灯)の設置などがあります。
これらを知らない内装業者に任せてしまうと、完成後に「やり直し」になる可能性があります。やり直しには追加の費用と時間がかかり、オープン日が遅れれば家賃だけが発生する期間が延びます。
- 工事着手前に管轄の保健所・消防署に図面を持って事前相談に行く
- 内装業者に「保健所の検査対応経験があるか」を必ず確認
- 検査の予約は工事完了の2週間以上前に入れておく
失敗⑤ 追加工事の見積もりを確認しなかった
内装工事でもっとも多いトラブルのひとつが、「聞いていない追加費用」です。
「この金額で全部やります」と言っていた業者が、工事中に「ここはオプションです」「想定外の状況だったので追加料金がかかります」と言い出すケース。内装工事の契約書に決まったフォーマットがないことも、このトラブルが起きやすい原因のひとつです。
① 解体・廃材処理は含まれているか ② 電気・ガス・水道の配管工事は含まれているか ③ 空調・換気設備の工事は含まれているか ④ 保健所・消防署の検査対応費用は含まれているか ⑤ 工事後の清掃費用は含まれているか
また、支払いは一括ではなく分割にするのが安全です。契約時に半額、完了時に残額が一般的。大規模な工事なら3回に分けてリスクを分散させましょう。
まとめ:失敗の多くは「事前確認」で防げる
飲食店の内装工事で起きる失敗の多くは、「知らなかった」「確認しなかった」が原因です。逆に言えば、事前にポイントを押さえておくだけで、ほとんどの失敗は回避できます。
| 失敗パターン | 原因 | 防止策 |
|---|---|---|
| 厨房が狭い | 客席優先で厨房を削った | 通路幅60〜90cm確保・動線シミュレーション |
| 設備容量不足 | 契約前にインフラ未確認 | 内装業者と現地調査を実施 |
| 掃除が大変 | 見た目だけで素材を選んだ | 耐油性・防滑性・清掃性で素材を選ぶ |
| 保健所でNG | 法令基準を把握していない | 事前に保健所・消防署へ相談 |
| 追加費用の発生 | 見積もりの確認不足 | 含まれない工事を明確に確認・分割払い |
初めての開業で不安を感じるのは当然です。だからこそ、信頼できるパートナーを見つけることが何より重要。内装工事は「安さ」で選ぶのではなく、「安心」で選んでください。
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